“できない”を超える
お風呂でいつも泣いていた
息子がいつも風呂場でないているんです…、そうご両親は私たちに話されました。俺なんて、どうせ何やってもうまくいかない…、そんな独り言を言いながらお風呂で泣いているというのです。特にお母さんは、そんな彼の様子が耐えられないようでした。
勉強についていけない
第1志望の高校へ入学できず、併願だった高校へと進学した彼は、次第に勉強についていけなくなりました。同時に人間関係にもつまづき休む日が続き、やがて出席日数が足らなくなり留年が決まります。そんな状況の中で彼は家に引きこもるようになったのです。
相談
留年が決まりその後どうするのかを考える中、私たちとの出会いがありました。とにかく話を聞いてもらいたい、相談に乗ってもらいたいという思いで学びの森にやってこられたそうです。私たちは、高校生活を離脱した子どもたちが、どのようにしてそこから再出発をしていくのか、いくつかのケースを紹介しながら説明をしました。
学び直し
学習のつまづきは、小学校にまでさかのぼりました。勉強も運動もずっと苦しかったと彼は言います。学校生活の中でみんなと同じようにできない状況が、彼を苦しめていたのかもしれません。そんな彼が一番苦手にしていたのが英語でした。苦しい状況から逃げるために、何一つ「最後までやり切る」という経験を積むことができなかった彼に対し、私たちは英語の学び直しを提案しました。もしそれができたなら、これからの人生がきっと違ってくるという思いのもとに…。
社会福祉を学びに大学へ
英語の学び直しは、中1の最初からスタートしました。説明を聞いても何も理解できない、答えを写すだけで何も積み重ならない…。学びの森を辞めることも考えたと言います。しかし、保護者の方とも連携を取りながら、私たちは彼への関わりを続けました。その結果、彼は学習のやり方そのものを自ら改善し、中学校3年間の英語の学習をやり遂げ、半年で英検3級に合格するにいたったのです。こうした経験から自信を得た彼は、社会福祉士をめざして大学受験にも取り組むようになり、志望校へと進学していきました。