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日誌

ピエロになること -森の出会い場-

こだわりを持って仕事をされている大人と子どもたちが出会う、森の出会い場
先日、美容師の櫻井真也さんからお話を伺いました。


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櫻井さんは24歳の時に嵐山に美容室「和二」を開店、以来13年、お店を続けてこられました。
櫻井さんのお話の中で印象的だったのが、仕事をするときのこだわりを「ピエロになること」とおっしゃっていたことです。
「和二という空間に来て喜んで、楽しんで帰ってもらえたらそれでいいんです。そのためのピエロになる。ピエロっていうのは、実はいちばん難しいんです。サーカス団でいちばん技術のある人が、何も出来ないふりをする。ぼくも、楽しんでもらえるんやったら何でもいい。カットの技術を求めて来る人に喜んでもらうにはカットの技術を高めなあかんから技術を高める。おしゃべりの楽しさを求めて来る人には楽しんでもらえるようなおしゃべりを。」
実は私田中はここ3年ほど櫻井さんに髪を切ってもらっています。その中で、自宅でも再現を可能にする並々ならぬカット技術、そしてその道具となるハサミなどへのこだわりを聞いていたので、櫻井さんの一番のこだわりはきっと「再現性の高いカットを」「持ちのいいカットを」といった、カットにまつわることなんだろうと考えていたんです。
ところが一番のこだわりは「喜んでもらう、楽しんでもらうこと」。
カットの技術もその手段にしか過ぎない、と言い切っておられた潔さに、生業である「髪を切る」ということの可能性、そして限界を常に見つめていらっしゃるように感じ、印象に残ったのでした。
自分の仕事にできること、その可能性を信じると同時に、限界も常に意識していないといけないのかなと最近思うことがあり、そういった自分の今の状況が櫻井さんの言葉をそのように感じさせたのかもしれないのですが。
櫻井さんのお話を伺ったあとは、実際に髪を触ってもらおう、ということでヘアアレンジを教えていただきました。
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男性陣はワックスを使ったアレンジ、女性陣は三つ編みや編み込みを駆使したアレンジをしてもらい、普段とは少し違った印象のみんなを見られて、「○○君はかなりイケメン…」「実は○○ちゃんはアップスタイルも似合う…」など、新たな発見がありました。その後の通常の学習で髪形がみんな派手になっていて、教室がいつもと違う風に感じられておもしろかったです。
最後にみんなの感想を聞いたときに、みんなの髪を触る櫻井さんの顔が楽しそうで、この仕事が好きなんだなと感じましたという振り返りがあったのですが、こだわりを持って仕事をされている方の仕事の風景を垣間見ると、お話の内容がリアルに感じられました。
知誠館でアルバイトしていた時代も出会い場には参加させてもらっていたのですが、学生だった時に参加した出会い場で感じたことと、いまひとりの仕事をする人間、社会人として参加する出会い場で感じることが少しずつ違ってきているのが、自分のことながらとても興味深いです。
学生時代は、今思えば「仕事をする人」はあくまでも「これから」自分が歩む道を歩いている先輩たちであり、その話を伺う、という意味で自分とはどこか切り離されていた気がします。
それが今、自分自身どうにか「こだわり」を探して働こうとしている身として参加すると、常に自分自身の「仕事をする」こととつなげて考えてしまうというか、自分の仕事の状況が話の聞き方、受け取り方にすべて反映されるというか…
そういったことを感じた出会い場となりました。