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日誌

アウラ・ブッククラブ第1回

今年度から、「アウラ・ブッククラブ」というものが始まりました。
アウラ・ブッククラブとは、ここアウラで開く定期的な読書会のこと。


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一般の方々を対象とし、大人たちが「読むことを愉しむ」ことを目的とし、いろんな視点から作品を読み込んでいく読書会です。
(詳細は→こちら
そんなブッククラブ、昨日が第一回の開催日でした。地域の方々や、知誠館のスタッフ、開催の案内を見て遠方から来てくださった方…いろんな方が集まった中、今日から読み始めたのが、「方丈記」。
「鴨長明が作者の『無常』の文学…?」
「ゆく川の流れはたえずして…ってやつ?」
「学校で暗記させられたわ~」
そう、その「方丈記」です。
「読むことを愉しむ」のですから、古文の文法知識やその予習復習などは一切ナシ。「方丈記」をいろんな角度から読んでみよう!というものです。
とはいっても、入試必携!完璧に覚える文学史★みたいな参考書なんかで赤字になっている「方丈記」「随筆」「鴨長明」「無常」、という言葉や冒頭の「ゆく川の流れ…」以外にあんまり知らないや、という方も多いのでは。
私もその一人です。が、実はそんなにあっさり片づけてしまえるものでもないようで。
鴨長明さん、悟りきって悠々自適に執筆生活をしていた仙人のような浮世離れした人を私は勝手に想像していたのですが、どうやらだいぶ違うようです。
災害が起こった京都の町を実際に歩いて記した部分は、災害ルポライターのようであり、父の死後みなしごになったことから自らのキャリアを自分で切り拓かないといけなかったり、もっと生身の「人間」感を感じられる人で、長明のそんなところをこれから読んでいくんだそうな…!
私自身は、大学で日本文学を専攻していたということもあり、古文を読むときには「他の写本になんて書いてあるかも確認しないとダメ!」「先行研究をおさえておかないとダメ!」「この語句をこの意味で取るためには同じ作者の他の作品での用例を見つけなきゃダメ!」などなど、論文を書く時の「○○しなきゃダメ」というのに囚われていて、いち読者として「古文を読む、愉しむ」ということを数年していなかったような気がします。
それが今日、「自由に読んでいいんだよ」と言ってもらったような気がして、これから読んでいくのがとても楽しみになりました。
もちろん、私が自由に読みたいと思った時に読めるのは、先に挙げたような研究の手続きを踏まえた学者のみなさんの蓄積があってこそなのですが。
数多の天災を経験した長明、難しい状況で自分のキャリアを構築していく必要のあった長明…
こう書くと、案外長明って今の私と同じような経験をしているのかも。長明って案外人間くさい人なのかも。実は長明もいろんな苦しいことや困難な状況を経て、その中で葛藤や煩悶があって、「方丈記」があるのかも…
といったことを考えてみると、「方丈記」を見る目が、その作者「鴨長明」を見る目が少しずつ変わってきそうです。
次回、第2回の開催は6月28日(火)10:30~、またまたここ知誠館にて。
知誠館に通う高校生たちも、今後ここに参加できればなぁと考えています。
興味を持たれた方、ぜひ一緒に方丈記を読んでいきませんか?