アルティメットヒオコシストになろう!
タイトルを見て「は?」と思われた方も多いことでしょう。
実はヒオコシストとは「火起こしのスペシャリスト」のことです。
だいぶ前に、調理実習をしようとすることになったという旨のブログを書きました。
その時に生徒から出てきた意見のひとつが
「せっかくなら火起こしからやりたいです!」
というものでした。
電気もガスも当たり前にある時代に火起こしだなんて…。
私はその生徒に向かって言いました。
「じゃあ火起こしの道具から作ろうぜ!」
今回の悪夢はすべてここから始まったと言って過言ではありません。
道具は学びの森の中にあるものだけ、いっさい買い足さない、よそはよそうちはうち精神で
火起こし器具作りをスタート。
「いろいろあるけど、火起こせる率高いのはユミギリ式みたいやで」
「うわ、これミリ単位で調節せなあかんやん…」
「とりあえず俺ユミ作るし、誰かヒキリ棒作ってや」
「てかちゃんとした加工できる道具ほしい~!」
「まず材料足りなさすぎやろ!乾燥させるのに1か月も待ってられるか!」
そんなやりとりをしながら、本を読みつつ道具を作っていきました。
いや~、これがめちゃくちゃ難しい!一筋縄ではいかないことが山ほどありました。
この作業を通して、火起こしをするための材料やそれを加工する道具は、人類の歴史の中で
何度も試行錯誤を繰り返しながら生まれたものであることがわかりました。
・ヒキリ棒にはアジサイの枝を使うと良い
・ヒキリ板には堅めの木材のほうが良い
・火種となるおが屑が落ちる切れ目を入れておくほうが良い
などと本に載っているんんですが、こんなこと実際やってみないとまったく実感が湧かないと思います。
私も生徒たちと一緒に試行錯誤を繰り返していく中でやっと、本に書いてある内容が理解できました。
いやはや、原始人すごすぎる…。
作り始めて1時間半が過ぎたころ、ようやく火起こしの道具っぽいものが出来上がりました!
あとはこれを使って火を起こすだけ!
いくぞ!我らアルティメットヒオコシスト!
はい、無理でした。
焦げた匂いはするんですが、煙すら出ません。
何度も挑戦したのですが、生徒たちもついに力尽き、今日はタイムアップ。
次回につなげるため、何が足りへんのやろ?と生徒たちと話し合いました。
「板に開けてる穴が大きすぎるんちゃう?」
「紐の摩擦が大きすぎて動かしにくいから、紐と棒変えよう」
「おが屑の量ももっと増やした方がいいんちゃう?」
「棒の先端をもう少しちゃんと削ろう」
いろんな意見が出てきました。
もしかしたら、原始人たちも同じような議論をしていたかもしれません。
次こそは火が付くといいですね!
それはそうと、私は今回火起こしを通して、人類の歴史に触れたような気がしました。
そしてそのことは、今後どうなるかわからない状況を生き抜くために必要だと思いました。
何十万年前の議論を、現代でもするときがくるかもしれない。
人類の発展と有事を生き抜く力と─。
生徒と一緒に火起こしをしてみて、そんなことを考えました。