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日誌

国際交流基金と京都府立図書館にいってきた①~国際交流基金編~

 

こんにちは、学びの森のタナカです。

 

 

1月23日木曜日、学びの森の面々は蹴上駅に降り立ちました。

 

 

 

 

目的はこちら!

 

 

 

 

 

 

国際交流基金と京都府立図書館に行こう!という企画です。

 

 

 

 

京都府立図書館を訪問することになった背景には、京都府の新たな取り組みがありました。

 

 

京都府立図書館、府内の市町村立図書館・読書施設とも連携し、教育支援センター・適応指導教室や府認定フリースクールへの図書の貸出を開始

 

 

不登校児童生徒への読書機会の充実のため、京都府立図書館が京都府教育委員会認定フリースクールに100冊の本を6ヶ月間貸し出してくれる「不登校児童生徒読書活動支援事業」です。

 

 

府立図書館から6ヶ月間も、しかも100冊も本を借りられる!借りに行かない手はない!!ということで、実際に府立図書館に本を選びに行くことになったのです。

 

 

 

 

そして府立図書館にほど近い「京都市国際交流会館」には、「国際交流基金」という団体の京都支部が入っています。

 

 

そこで働かれている長谷川聡さんが以前学びの森にボランティアに来てくださっていたご縁から、図書館に行くだけでなく、国際交流基金にお邪魔し長谷川さんに国際交流についてお話を伺おうということになりました。

 

 

 

 

国際交流基金とは、世界各国への日本文化・社会の紹介と、日本人と外国人のネットワークづくりを目指している専門機関です。

 

 

多くの人が学びの森への通学に利用するJR嵯峨野線や京都の街にも外国人観光客があふれ、日本に暮らし生きる外国人の方もたくさん見かけるようになった最近。学びの森の生徒にとっても「外国人」と呼ぶ人たちを見かけることは日常的になってきている中で、外国との対比から見える「日本」はどんな国なのか、日本で暮らす外国人の方と一緒に生きていくことをどうやって考えるのか、「国際交流」って何なのか…。そういったテーマを考える手掛かりになればという思いで、長谷川さんとともに企画を進めました。

 

 

 

 

こうして決まった国際交流基金と京都府立図書館への訪問二本立て。先ほど挙げたようなテーマを考える準備として、事前にゼミで「どんなところで外国人の方を見かける?」「身近にいる外国人の方は?」といった問いを投げかけました。

 

 

 

 

 

 

 

 

すると、通っていた学校のクラスメイトや近所の友人、親戚や習い事の仲間など、身近なところに外国人がいる生徒が多いことが判明。

 

 

じゃあそんな「外国人」の方たちはどんな人たちだった?彼らはどんなことに困るんだろう?どんな資格があれば日本で暮らしたり、働いたりすることができるんだろう?仲良く生きるには何が必要なんだろう?

 

 

そういった問いを考える時に、「外国人」という漠然としたイメージを出発点にするのではなく、それぞれの生徒が出会ったことのある、名前を持った一人の「個人」としての外国人の方を出発点に話をしていきました。

 

 

 

 

同じ「日本人」というくくりでも「私」と「あなた」が全然違う人間であるように、外国人の方も「外国人」という大きなくくりでは捉えられない一人ひとりの人間であることを少しでもイメージできる時間になったのではないかと思います。

 

 

 

 

その3日後に迎えた当日。

 

 

蹴上駅から国際交流会館に徒歩で向かい、3階にある国際交流基金のオフィスへ。

 

 

 

 

 

 

 

 

長谷川さんにお会いし、実際にお話を伺いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

長谷川さんからは、

 

 

・国際交流基金がどこで、どんな仕事をしているか

 

・日本国内で、あるいは世界でなぜその仕事をする必要があるのか

 

・日本で暮らす外国人の人たちはどんなことに困っているのか

 

・長谷川さんが海外で仕事をしていた時の経験談

 

・日本の教育と海外の教育のちがい

 

 

などのテーマでお話をしていただきました。

 

 

ほかにも、「『外交』って何を目的にするんやろう?」「大使館って何?」などの国際交流を語るうえで無視できないキーワードがそもそもどんなことを指しているのかについてもお聞きしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

中でも学びの森の生徒たちが盛り上がっていたのが、「日本と海外の教育のちがい」について。

 

 

もちろんそれぞれの国(や地域)で教育のあり方は様々なので「海外の教育」などとひと口に言うことはできません。

 

 

 

 

長谷川さんが例に出してくださったのはドイツの教育。

 

 

ざっくり言えば、10歳で「勉強がそんなに好きじゃない」と思えば職業人を目指すコースに、「もっと勉強したい」と思えば大学進学を見据えたコースに進む決断をするため、選択したコース以外のことに取り組まなくていいメリットもあれば、途中で方向転換をしにくいデメリットもあるようです。日本はどちらかというと全員がある程度の年齢になるまで同じように勉強していくことで多様な選択が可能になっている、と言えますが、どちらにもいいところと難しいところがありそう…。う~ん、難しい。

 

 

いずれにせよ10歳という年齢でこれからの人生を決める進路選択をしなければならないドイツの教育制度に、ちょうどその年齢である小学生も、その年齢をとうに過ぎた高校生たちも驚いている様子でした。

 

 

 

 

世界各国でいろんな経験をしてこられた長谷川さんの話し方やお話してくださる内容から、「日本」という国のルールや考え方が世界のものと同じではないこと(というか、日本、おかしくない!?と思うようなことが多いこと)、その中で、全く違う環境で育ってきた外国の方々とどう共に生きるかを考えることの難しさと大切さ、を改めて感じました。

 

 

目の前にいる生身の人間の経験を聞き感じることは、本やテレビで見聞きしている時とはまた違う、血肉の通ったお話だからこそ感じられることが多いように思います。

 

 

 

 

私タナカは長谷川さんのお話を聞いていて、「今日は『外国人』というところをとりあげてその人たちと『どう生きるか』ということを考える時間だったけれど、『外国人』というのは人と人とを区別する『違い』のひとつなだけだから、それを考えることは『性別』だったり『年代』だったり『心身の状態』だったり…という、いろんな『違い』がある人たちと生きることを考えることにもつながってるよなぁ。でも先に挙げたような『違い』って、あらゆることが『違う』のが当たり前である(でも身近な人に対してもそう思えている人は案外少ないかもしれない)人間同士の『違い』のひとつに過ぎなくて、目の前にいる『あなた』という人間のことを知れば、知りたいと思えば、そんな大きな言葉で括る『違い』はどうってことなくなる瞬間があるよなぁ」と思いました。

 

 

その「違い」から派生する社会問題を語る時やその解決を目指す時など、一般的な議論をするためには「外国人」「女性」「男性」「若者」「高齢者」「障害者」といった大きな枠組みの言葉が必要ですが、根っこにいる「人間」同士は、知り合い、関わり合っていけば「彼は外国人だ」ではなく「彼はJohnだ」と、「この人はトランスジェンダーだ」ではなく「この人はタケシだ」と、「彼女は車椅子だ」ではなく「彼女はユリコだ」と、思う関係性を作れますよね。

 

 

そういう関係性になった時は、「外国人」とか「性差」とか「障害者」とかいう大きな枠組みの言葉で表される「違い」だけでなく(それ以上に)、たとえば時間にルーズだとか趣味が合わないだとかトイレの蓋を閉めないだとか靴下を洗濯カゴに入れないだとか、もっと些細な(?)「違い」の方が関係性を左右したりもする。

 

 

(もちろん大きな言葉で切り取られる「違い」も、私が思っている以上に大きな違いだとは思うのですが)

 

 

 

 

そういった生身の人間同士の関係性を私はこれから作っていきたいと思いましたし、生徒たちにもそういう関係性をたくさん持ってほしいな、と思いました。(ただし、ひととして在りたい在り方や持ちたい関係性は人それぞれなので別に持たなくてもいい、とも思います。それ以外のところからいろんなことを得る人もたくさんいますので。)(どっちやねん)

 

 

 

 

そんなこんなでいろいろな考える種をいただいた長谷川さんのお話を終え、国際交流会館を案内していただきました。

 

 

 

 

 

 

「フランス語教えます↔日本語教えてください」「使わなくなった冷蔵庫、譲ります」などのメッセージカードが貼ってあるコーナーや、

 

 

 

 

 

 

広々としたホール。

 

 

 

 

館内をご案内いただいたあとは長谷川さんと別れ、皆で食事をとり、思い思いの時間を過ごしました。

 

 

持参したボードゲームをする人たちもいれば、プレイスペースで走り回って遊ぶ人たちも、はたまたずっとおしゃべりしている人たちも。

 

 

時間いっぱいを楽しく過ごし、府立図書館にむけて出発しました。

 

 

 

 

…と、この記事ひとつで国際交流基金への訪問も府立図書館での選書もとりあげる予定だったのですが、図らずも長くなってしまいました。

 

 

この続き、府立図書館編はまた後日公開したいと思います。