子どもが映るカガミの時間 ―『ぐりとぐら』のカステラづくり
こんにちは!
梅雨入り以降のジメジメとした暑さの息苦しさ、痛くなる頭、そしてうねる髪の毛(天パなのです)に早く夏が終われ!と息巻いております、学びの森のタナカです。
今日は、なにやらちょっとおいしそうな話をお届けしたいと思います。
はじまりは「文字」の時間
学びの森では、小学生の生徒を対象にした「文字」のクラスがあります。
そこでは、「漢字」や「アルファベット」、それを使った「ローマ字」と、いろーんな文字を学びます。
その中で、日常生活に即した使い方からローマ字を学ぶという観点から、「パソコンを使って、ローマ字で物語を打つ」時間を設けています。
たとえばある生徒は、絵本「おおきなかぶ」を全文タイピングしたことも。 → 過去の記事
その時間の中で、ある子が「ぐりとぐら」を打っていました。
みんな一度は見たことがある?かの有名なねずみの兄弟
そこに出てくるこのカステラ。
お月さまみたいに黄色くて、ベッドみたいにふかふかそう
ぐりとぐらを読んだことがあるみなさん、一度は思ったことがありませんか?
「このカステラ食べたい!!」と!!!
ありますよね?ありませんか?私はあります!!!
ということで、「ぐりとぐら」をローマ字でタイピングしていた生徒に、聞いてみました。
「…なあ、○○ちゃん。このカステラ、作ってみいひん?」
「え、作れんの!?作りたい!」と返ってきた返事に「作れるよ!作れるはず!」とレシピを調べ、日を改め、ほかの小学生と一部中学生メンバーを交え早速作ることに。
いざ、カステラづくり
そんなこんなでやってきました、ぐりとぐらのカステラづくり当日。
前日に「ほんまにやるん?」「明日カステラづくり?」と尋ねてくるところを見ると、どうやら楽しみにしている様子。
みんなでぐりとぐらを読み直して、レシピでつくり方を確認し
工程に間違いがないかしっかり確認しながら進めるみんなの顔は真剣そのもの。
卵黄を混ぜ、卵白を泡立て
混ぜて混ぜて、「ぐりとぐら」のカステラらしく、フライパンに流し込み
ごくごく弱火で焼くこと、およそ40分。
で、
で、
できたーーーーー!!!
写真でうまく伝わらないのがもどかしいのですが、ふっくらとやわらかくふくらみ、本物のぐりとぐらカステラにかなり近いのでは!?と思われます。
「ふくらんだ!」「できたー!」と歓声が上がりました。
焼きあがってしまえばもうあとは食べるだけ!
カットして、いただきまーす!!
作ったメンバー以外のみんなにもふるまったので、あっという間になくなりました。
「おいしい!」「ふわふわや!」と味は好評、だったのですが…
このカステラづくりを振り返って書いてもらった絵日記にあった一文のとおり
1時間以上かけて作ったのに、大人数で分けたため、味を楽しむのはほんの数秒で終わってしまったのでした。
…と、今回かなり衝動的に始まったかのように見えるカステラづくりですが、これを実行に移すまでにはそのカステラづくりを「学習」のどんな文脈に置くかを考え、ほかの先生との会議で提案、GOサインが出てからの実行となっています。普段「○○したい」と積極的な要望を口にすることがあまりないこの生徒の意欲的な希望を大人が実現する現実を創出したいという思い、「家庭科」と呼ばれるような学習の機会がない学びの森の生徒たちにそれに類似した機会、ものを「つくる」機会を創出したいという思い、が今回のカステラづくりの主な動機となっています。
普段の机に向かって取り組む学習では見られないみんなの表情や考え方、人との関わり方が見えてくる、こうした時間。
今回も、普段おうちでお菓子を作ってるという子の手際のよさに感動したり、「次は○○くんもやったら?」とハンドミキサーの順番をかわってあげる生徒がいたり、「洗い物を分担して終わらせよう」のひと声でじゃんけんで順番を決め公平に洗い物をしていたり。書いてもらった感想に「こんな風に感じてたんや」と改めて知ったり。
こんな風にみんなのいろんな姿を知っていくと、「カステラづくり」はあくまでもそれを通して子どもたちが何を考えるか、私がそれをどう見るかという鏡のような存在でしかないのだなとも感じます。
鏡の数が多ければ、より様々な角度から見たみんなの姿が映るかもしれません。
きちんと「学び」に根っこを下ろしながらも、いろんなことをみんなとしていきたいなと思ったカステラづくりでした!