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日誌

カフカを読む

前回から「文章を読む」ことに突入した現代文ゼミ。
今回はF,カフカの『掟』を読むことに挑戦しました。



一読してみた感想は、「前回の内容よりももっとよくわからん…」というものでした。
しかし、文章の細部に目を向け、これってどういう意味なんかな?と議論することで、徐々に自分なりの読みができあがっていきます。
これは以前にも書いた、「他者の視点に触れることで自分の視点も広がり、その結果読みが更新される」ということだと思います。
今回は2つのグループに分かれて意見を出し合いながら、読みを作り上げていきました。
その時に私が面白いと思ったのは、それぞれの読みに、個人の課題やライフストーリーが現れるということでした。
これが「主観的批評性」というものなのかもしれません。
そして、その読みには「時代」や「社会」というものが大きく影響しているという点も浮き彫りになりました。
例えば、この作品の中に出てくる「掟」の意味を、塾長は「新しい時代」、ある大学生は「自分の成長」と解釈しました。
すなわち、「掟」を自分の「外」にあるものとして解釈するのか、「内」にあるものとして解釈するのかの違いが生じたのです。
これは、塾長たちの世代が生きた時代や社会と、今の大学生が生きる時代や社会の違いを反映していると考えられました。
このように考えると、カフカの作品がなぜ現代にまで残る素晴らしい作品と言われているのかが考えられます。
カフカはそれまでの、作者の読みの通りに作品を味わうのではなく、読者がそれぞれの読みを議論して作品を味わうという、新しい文学の楽しみ方を提示した点で素晴らしいし、いつの時代の誰が読んでも違った読みを考えられるだけ深みのある作品を書いたという点で素晴らしいのではないでしょうか。(カフカSUGEEEEEE!!!!!)
今回もこんな風にいろんなことを考えた現代文ゼミでした。
楽しい…。