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日誌

3年間のひきこもり

「あの時は、毎日死ぬことを考えてました。どうしたら楽に死ねるだろうって・・・。睡眠薬を一杯飲んでマンションの屋上で寝て、寝返りを打った瞬間に転落死、そんなのがいいなあって、真剣に考えていました。そんなことを考えだすと、どこまでもどこまでも考えてしまうんです。そして、そんなことを考えてる自分がまた嫌になって・・・」
こんな話をみんなの前で語ってくれたのは、3年間のひきこもり経験を持っているH君でした。彼にとってひきこもり生活は、3年目からまるで地獄のような日々だったといいます。


昨日は、知誠館で毎月一回開かれるラウンドテーブル「森の語り場」がありました。今回は、知誠館の自称「会長」ことH君がゲストでした。H君には、高校を1年でやめた後、3年間のひきこもり経験があり、しかも後半の2年間は全く自宅から外に出ないという本格的な(?)ひきもりをやってのけた人物でもあるのです。
「ひきこもりは3年が限界。1年目は気楽だった。2年目からだんだん苦しくなって、3年目は地獄だった」
そんなコトバも彼の口から飛び出した。
「毎日自殺を考えていた」
そんなH君のコトバに、他の子どもたちが反応した。
「うちもそう」
「僕も何回か首を吊ろうって思った」
彼の話を聞いて、他の半数以上の子どもたちが口々に語りだしました。
とことん自分を追いつめた先にあるのは「自死」。
今はネットがあるので、自殺に関する情報も簡単に手に入るといいます。
でも、H君はそこから自分自身を這い上がらせました。今ではみんなからの信望も厚く、何よりユーモアのセンスにあふれているのです。そんな彼は、この春からパティシエになるために成果の専門学校へ進学します。昼間は、製菓に関わる仕事に就きながら夜間にその技術を磨いていこうとしています。専門学校の学費は、知誠館で学びながらもスーパーで早朝からアルバイトをして稼ぎました。そんな夢を持った勤労学生が今のH君です。
H君のライフストーリーを初めて耳にした子どもたちもいました。
私自身も自殺のことは初めて聞きました。
でも、そんな大変な過去を淡々と語れる今の彼自身に私は感動を覚えました。
「僕も塾長のように自由に生きていきたいんです」
そう最後に言ってくれたH君に、私はなぜか微笑まずにはおれませんでした。