MENU

日誌

振り返ること

人間は、ほかの動物と違って過去を振り返ることができます。
この振り返りは、とても大事な作業で、過去を振り返ることで現在との時間の隔たり、すなわち時間概念が生まれるからです。


以前から取り上げてきた個人が描く人生の物語、実はその物語の成立には時間概念が必要となります。過去から現在、そして未来へと途切れなく続くその時間軸の上に物語は描かれるのです。
だから物語を描くためには、振り返り(省察的思考)が必ず必要となるわけです。
物語は、いつも後付けです。
それは、現在のあなた自身によって描かれる世界です。
だから、物語はどんどん書き換えられていくのです。
知誠館の子どもたちの描く物語も、おもしろいことに時の流れと共にドラマ性を帯びるようになってきます。一つのドラマとして、今目の前にいる子どもが自分の過去を描くわけです。
この作業は、一つの過去の相対化でもあります。
自分の苦しかった経験を、ドラマとして自分自身の対面に添えることで、そこから変容を遂げた自分自身をあらためて認識しようとしているのかもしれません。
だから、振り返ること、そしてそこにコトバを添えて物語ること、さらにその物語をみんなで受け止めていくこと、そんな作業が大切だと考えるのです。