社会に出たときに
どうも、学びの森のキノシタです。
新年度がスタートして、もう1週間が過ぎようとしています。
今日は午前中みんなでお花見に行き、桜を満喫してきました。
さて、今回はお花見のことではなく、小学4年生のAくんと話をした中で色々と考えたことを書こうと思います。
Aくんは学びの森に通い始めて1年くらい。
好奇心旺盛で興味のあることにはすぐ飛びつき、とりあえずやってみること、考えることが大好き。
でも字を書くことや計算など、本人が苦手だと思っていることに取り組んだり、興味のあることでも壁にぶつかったりするとめんどくさがって投げ出しちゃう。
そんな一面が見られる生徒です。
Aくんが以前より「やる気がでない~」と言っていた算数の学習時間のことです。
いつも通り、時間になってもなかなか問題集に取り掛かろうとしません。
本をパラパラめくってみたり、他の人が何をしてるのかウロウロ見て回ったり。
僕には「よし、やるか!」となる準備をしているようにも見えました。
そこから問題集に取り掛かるも、2枚くらいちゃちゃっとやった時点で学習は終了。
読書に移行して、ずっと本を読むモードに。
その様子を見ていてやっぱり釈然としない自分がいたので、声をかけることにしました。
A君さ、その問題集やってて楽しくない?あんまり意味ないと思う?
―う~ん、楽しくないわけじゃないし、意味はあると思う。
どんな意味があんの?
―空間図形とかの問題解いてたら、思考力がつくと思う!
そっか、じゃあなんでやらんの?やる気が出ない?それとも集中が続かない?
―どっちかって言うと集中が続かへんって感じかなぁ
でも本読んでるときはずっと集中できてたんちゃう?
―うん、これは面白いし楽しいから
じゃあやっぱり集中が続かないっていうよりは、その問題集が面白くないか楽しくないからってことちゃう?
―確かにそうやな。
本を読んでるのがホンマに面白くて楽しいんやったら、図書館行ったほうがA君にとっては良い時間なんじゃない?
学びの森に来て「面白くない、楽しくない」って思いながら問題集やるよりも、意味がある時間過ごせるんちゃう?
―・・・う~ん、でもそれはちゃうねん。
なんでやねん!笑 それってどういう意味?!笑
―笑 図書館だけやったらな、疲れへんねん。なんか疲れは欲しいねん。
1日中そんだけ集中して本読んだら疲れるんちゃうん?
―いや、本読むのは楽しいだけっていうか、こういうの(問題集)やらないと疲れへんねん。
あぁ、なんかちょっと言ってることわかってきたかも!
A君的に面白くなかったり、楽しくないけどやらなあかんって思うことに取り組むことで疲れが得られるんか!
―そう!それ!なんか仕事した感じになる!達成感!
そっか、それでいつも一応2枚ぐらいやってるんか。
―そうそう!
それは家ではできへんの?
―う~ん、家はやっぱり休む場所やから無理やなぁ。
なるほど。A君の言ってることってB君とかC君もなんとなくわかる?(このやりとりをじっくり聞いていたので話を振ってみた)
―(ふたりとも)うん、わかる。
あぁそうなんやなぁ。じゃあA君にもういっこ質問。
その「疲れ」とか「仕事した感」とか「達成感」が得られる「プリント2枚」っていう”量”はA君が決めてんの?
―うん、自分で決めてる。
その”量”って、少しずつ増やそうと思ってるん?自然に増えていくもんなん?
―それは成長したら増えていくとも思うし、増やしていかなあかんなーとも思ってる。
そうなん!?それすごいな!!ちゃんと自分で考えてんねんな!!
―うん、まぁ!
だからこっち(スタッフ)が「もう1枚やったら?」って言われると…
―そう、それはやる気が出ないっていうか、やりたくないなぁってなる。
そういうことかー!求められる”量”が自分が思ってる以上やとやりたくなくなるんやな。
なんとなくA君の言ってること分かった気がするわ。じゃあ放っておいたらいい?
―いや、でも放っとかれんのは嫌やねん!笑
はぁ?笑 それはわがまますぎるって!笑
―笑
いや、今までの話で思ってんけどな、やっぱり僕が関わる”意味”、学びの森でやる”意味”が無いって思ってしまったわ。
だって学習してる”量”について、A君はこんだけでいいと思ってるけど、僕はホンマにそれでいいんかなぁもうちょっとできるようになったほうがいいんちゃうかなぁって思ってるから「もう1枚したら?」って言ってるわけやん?でもそれは言われたくない。
かと言って、A君は考えてるからそのまま放っておこう!っていうのも嫌。
これってホンマに僕が関わる”意味”とか学びの森じゃないとあかん”意味”ってあんのかなぁ?
―う~ん…。
僕は無いと思うし、それが続いたら「関わりたくない」とまで思ってしまうわ。
だってA君の要求は通るけど、僕の要求は通らんねやろ?そんなん一緒にやれへんやん?
僕の気持ちってどう思う?なんとなくわかる?
―うん、わかるよ。逆やったら一緒にやりたくないなって思う。
ほんじゃあ僕の気持ちや考えは伝えたので、A君もそれを受けてどうするか考えてくれたら嬉しいわ。よろしく。
―わかった!
長くなりましたが、一部始終ほぼ改変なしで会話をお届けしました。
A君の考えていることもよーくわかったし、でもそれだけではいけない、というか僕が譲れないものがありました。
それが、タイトルにある「社会に出たときに」は言い過ぎかもしれませんが、やっぱりこの先A君が学びの森を出て「自律=誰かと一緒に、自分らしく生きていく」としたら、大切にしてほしいものなんだろうなと思います。
もちろん社会は絶えず変わっていってるし、僕自身もたったひとつの正解を持っているわけではありません。
だからこそ僕自身がA君を見る視点や見方を、絶えず更新し続けることはやめてはいけないと思っています。
でも、大切にしてほしいその「何か」は、もしかしたら社会が変わっても/どんな社会でも大切にしなければいけない「何か」なのかもしれないとも思っています。
その「何か」ってなんなんかなぁ。
言葉が欲しい!
では、また~