振り返りの枠、壊してみた
どうも、学びの森のキノシタです。
今日のブログタイトルはちょっとYouTubeみたいですが、スルーしてください。
この前、文字通り<振り返り>の枠を壊してみたんです。
学びの森では、週に1回<振り返り>の時間を設けています。
そこでは生徒たちが作った時間割を点検し、日々の学習の様子を聞いて改善すべき点などを一緒に話し合ってきました。
自分の今の状況を客観的に見る、いわゆる「メタ認知」の力を身につけてほしいなと思って組み込んだこの時間。
確かに生徒たちの返答には、そういった「メタ認知」的な視点が入っていました。
また、こんな風に自分たちの今をことばにする力があるのかと驚かされもしました。
でも、それだけでほんまにいいのか?
何度も繰り返していくうちに、こちらが求める返答を返しているだけじゃないの?
そんな雰囲気がここ最近の<振り返り>の時間には流れているような気がしました。
そこで、そんなものはぶち壊してしまおうと!
直感ですが、同じことをやっていてもよくないなと!
そう思ったので、今回の<振り返り>では、いつもの振り返りシートも使わずに
面白い・知りたいと思うこと、気に入らないと思うことを書いてください。
とだけ書いた紙を渡して、学びの森のことや学習のこと以外、なんでもいいから書いてもらうことにしました。
すると、はじめは「別にそんなん無いですよ…」と言っていた生徒も、二言三言話し合うといろんなことが出てきたんです。
例えばAくん。
Aくんはここ最近休みがちで、なんで学びの森に来ないのか、今何を考えているのかもよくわかりませんでした。
でも、友達とここに書いてあるようなことを話す時間が楽しくて、大学に行きたいという強い思いがあることもわかりました。
またBくんは、
とにかく「乳首」が気になる!!!!
他のことはいっさい頭に入ってこないくらい「乳首」が気になる!!!!
話を聞くまでは何を書いているんだと思っていましたが、話しているうちにこれがいろんなテーマにつながるということが見えてきました。
皆さんは牛の乳首の数をご存知でしょうか?
実は8個あるんですね。じゃあ豚は?
実は8~10個もあるんです。
でもなぜ同じ哺乳類なのに、ヒトと牛、豚の乳首の数は違うんでしょうか?
あるいは、男性の乳首は何のためについているんでしょうか?
とまぁこうした具合に、いくらでも問いは立てられるんです。
Bくんがこんな風に問いを立てているわけではないかもしれませんが、それでも何か「学び」につながることは考えているんだと思います。
そしてCさん。
僕はCさんと話すとき、いつも身構えられている気がしていました。
それは僕が無意識に身構えているからなのかもしれませんが、とにかくいつも話していてもCさん「らしさ」は伝わってこなかったんです。
でも今回の<振り返り>にCさんが書いていた内容を見てみると
最初は何のことかわからなかったんですが、Cさんは熱心にこの映画の良いところ、好きなところを語ってくれました。
それも小難しいことばを使うのではなくて、Cさんのことばで。
そうやってCさん「らしさ」を出してくれたことにより、僕も僕「らしく」それに対して話をすることができました。
こんな風に、全然知らなかった生徒の考えや、その子にしかできない「学び」につながりそうなテーマ、
新しい関係がつくれるかもしれない可能性などが、<振り返り>の枠を壊すことで見えてきたような気がします。
「学力」というのは、単に「教科の学習がどれだけできるようになったか」ではなく「学ぶ力」だという考えがあります。
学びの森で<振り返り>の時間を持つ目的も、そんな「学ぶ力」を身につけるということにシフトしていこうかなと思っています。
これからまだまだ試行錯誤は続きますが、なんか今までより楽しかったので、やってみよーっと!
最後に、Dくんとのやり取りを紹介します。
Dくんに紙を渡すと、「えー、今までの(様式の)ままでいいじゃないですか!」と言われました。
そこで僕は「でも最近、頭使わんとこっちが望んでそうなこと答えてたやろ?笑」と返しました。
するとDくんは「そうですけど、でもみんなもそうだと思いますよ笑」と答えたんです。
ほら!やっぱり!思考停止!
Dくんが苦しみながら書いている姿を見て、しめしめ、もっと頭を使えと思いました。
でも、ふと我に返ったときに気がついたんです。
これはこっちも頭を使わないと全然意味ない…。
生徒一人ひとりが持っている知識や経験が違うので、それ(書いてきたもの)をもとに対話をしようとするこちらの知識や経験の幅・深さが必ず問われると思うんです。
生徒が持っている豊かな世界にアクセスするためにも、自分も自分の世界を豊かにしていかないとやばいなと思いました。
やっぱり枠壊さんかったらよかった……。
僕の中で後悔とワクワク感が戦っております……。
では、また~