自分の「変化」をめぐって
こんばんは、学びの森のキノシタです。
先日の<振り返り>では、1学期の経験を通した自分の「変化」を発表してもらいました。
僕史上初、夏休みの宿題としてやってきてもらったものです。
※詳しくはブログ:「1学期の振り返り」をご覧ください。
みんなどんなものに仕上げてきたんかなー?というか、そもそもやってきてんのか?!
と多少の不安はありましたが、全員やってきてくれていました。
生徒たちには失礼かもしれませんが、まずこの時点で結構な驚き…。
テーブルを囲んで、いざ発表!となると、みんな目をそらします。
トップバッターは嫌だ…。
その気持がひしひしと伝わってくる表情でした。
ダメ元でオンラインで参加していたAくんに「トップバッターお願いしてもいい?」と聞いてみました。
するとAくんは「別にいいですよ!」と即答。
おいおい、マジかよ。Aくんそんな感じやったか?!とここでもまた驚きました。
Aくんは1学期を通した自分の変化をノートにまとめていました。
考え始めると、たくさんの「変化」に気がついたそうです。
中でも印象的だったのは、オンラインのほうが自分的に参加しやすいと気づいたことと、大勢の人の前で発言できるようになったことを話している姿でした。
確かに。そらトップバッターやるぐらいやもんなぁ。すごいなぁ。
と、素直に関心してしまいました。
続くBくんは、こんな風に1枚のポスターのようにして自分の「変化」をまとめていました。
BくんはAくんと違って、これだ!と思う「変化」はひとつだったようです。
それは、ゼミでの経験を通した、社会への関心の高まり。
今後は「ベーシックインカム」や「財源」をテーマに、レポートを作成・発表したいと言っていました。
どんどん自分のいる世界を広げていって、いろんなことを経験していくBくんの姿が目に浮かぶ発表でした。
Cくんはこんな感じ。
初めて使った顕微鏡で見た世界への驚きと、今まで嫌いだった英語が好きになったことが「変化」だと語りました。
初めての体験が与える影響力の大きさたるや…。顕微鏡おねだりしてよかったと思いました。
嫌いなものを好きになることも、とてつもなく大きな変化だと思います。また逆も然りですが。
そんな風に、自分の中の好き/嫌いが更新され続ける姿が見てみたいなと思いました。
Dくんもポスター形式でした。
一番楽しかった「日吉へGO!」の経験を、スケジュール・やったこと・感じたことに分けてまとめていました。
Dくんは普段寡黙で、休み時間もスマホでひとり何かをしていたので、まさかこの経験が一番楽しかったと言うとは思ってもいませんでした。
また、Dくんが話しているときに、他の生徒のことを「友達」と表現していたことも印象的でした。
Dくんが経験したことを、Dくんの言葉で伝え聞くことによって、Dくんが見ていた風景を垣間見た気がします。
Eくんは恥ずかしそうにしながらも、ノートを開いて見せてくれました。
1学期を通した「変化」は、”自分のやりたいこと”が見つかったこと。
いやはや、脱帽です…。
僕がEくんと同じ年齢のときにこんな「変化」あったかなぁ?
今でも”自分のやりたいこと”ってこれです!って自信持って言えるかなぁ?
そんなことを考えながらEくんの発表を聞いていると、僕よりもしっかりしているように思えてきました。
Eくんは照れくさそうに「たまたまっすよ」と言っていましたが、それまでにたくさん悩んで、たくさん考えたことが伝わる発表でした。
さて、Fくんはというと、せっかく家で作ったのに持ってくのを忘れたそうです。
でも、口頭で自分の「変化」を語ってくれました。
時間割を自分で決めたことで、教科の学習をすすめられるようになったことが「変化」だと思う。
確かに昨年と比べて、Fくんは確実に学習のペースはあがっています。
Fくん曰く、得意な科目と苦手な科目を交互に配置するのがポイントだそう。
試行錯誤を繰り返しながら、自分が学習しやすい方法を見つけたんだと思います。
他の生徒に聞くと、午前中に苦手な科目を配置したり、好きな科目を連続で配置していると言っていました。
そういった工夫をそれぞれの生徒がしているという事実に驚きました。
Gくんは「漫画描いてくる!」と言っていましたが、結局文章にしたそうです。
漫画見たかった…。
と思いましたが、Gくんから語られた内容を聞いて、それも吹き飛びました。
Gくんの「変化」は、学びの森に来るようになってから、自分の今所属している環境のすべてにおいて「楽しい」と思えるようになったというものでした。
何が理由かはわからないけど、とにかく「楽しい」そうです。
これってめちゃくちゃ大事なことだと思います。
何をするにしても、理由のない「楽しい」という感情が、自分を突き動かすことがあると僕は思います。
その感情はおそらく、理由をことばにした途端に大事な部分が削ぎ落とされてしまうような、そんな感情だと思うんです。
とにかく「楽しい」という感情を持ちながら、いろんなことに挑戦するGくんを見て、こちらも楽しませてもらいたいなと思いました。
最後にHさん。
Hさんは「みんなの前で発表するのは無理」と言っていたので、まとめたものをみんなに見せてもらうようお願いしました。
ノートには自分の「変化」を一つひとつ丁寧に、自分のことばで書いてありました。
こんな風に、Hさんが自分のことばで書く文章を、僕は初めて見ました。
<出会い場>や<東九条フィールドワーク>の振り返りのときも、じーーーーっと黙って考えて、考えて、考えて、考えて……でも書けない/書かない。
Hさんの中でいろんな感情や思考が渦巻いていて、それをなんとかカタチにしようとしている姿は何度も見てきました。
だからこそ、こうして実際にHさんの書いた文章を見たときの感動は、並々ならぬものがありました。
僕は今回、1学期を通した自分の「変化」を振り返る、という取り組みを通して、ふたつのことを考えました。
ひとつは、改めて生徒たちの中に、考えたい・語りたい・伝えたいものが確実にあるということです。
いろんな経験をもう一度自分たちで編集し直すプロセスの中で、それらは形作られていくのかもしれません。
そしてもうひとつは、生徒の「変化」を評価するのは、生徒自身であるべき(というか、そっちのほうが遥かに面白い)ということです。
1学期を通して、僕も生徒も「変化」していることは確かです。
でも、それを誰が・何のために評価するのかを考えたときに、僕はやっぱりその人自身で評価するものだと思います。
生徒たちの発表した内容は、どれも僕が予想もしないことだらけでした。
だからこそ面白いし、次がつくれる。
そのために評価はあるのではないかと考えました。
一人ひとりの”次”を感じさせるような<振り返り>の時間だったと思います。
2学期の終わりにも、またこうした取り組みができればいいなぁ。
そのために、いっぱい「仕掛け」を考えよう。
では、また~