MENU

日誌

人から曲を、曲から人を。

森の出会い場がありました。

今回お越しいただいたのは、プロのチェリストである土肥敬さんと、ピアニストの島岡佐智世さん、竹中玲子さんです。

 

 

 

3人とも、普段はいろいろなところで演奏会をされているそうなのですが、土肥さんには「ふつうの演奏会はしたくない」という思いがおありだとか。

それは自分たちの演奏を聴いておしまい、ではなく、なぜこの曲を選んだのか、この曲が生まれた背景にはどんなことがあるのか、この曲の作曲家の人生は・・・など

演奏する曲や作曲家、歴史について深く知ることができるような演奏会です。

またそれは、「その時、その場」にいる人たちみんなの手で創られていきます。

 

 

 

実際にその演奏を聴いたとき、土肥さんの言っていることがわかりました。

 

 

 

演奏者との距離はわずか1メートル。

 

チェロの弦ってこんなに揺れるんや!

弦を抑えるときに「ターンッ」って音なるんや!

ピアノの鍵盤をたたく衝撃って床まで伝わるもんなんや…。

悲しそうな顔してる…どんな場面を思い描いてるんやろう?

 

演奏者の方々の息遣いまで聞こえてくる距離での演奏は、本当に迫力があり、いろんな発見がありました。

 

 

土肥さんは最初に演奏した、コレルリという人の『ラ・フォリアの主題による変奏曲』について

 

─悲しい音から激しい音へ、この抑揚が全体を通して続きます。それはコレルリという人が、世間からは尊敬のまなざしで

 見られながらも、放蕩的な自分も持っていて、その葛藤が現れているのかもしれない。僕も最初弾いたときはわからなか

 ったけど、弾いているうちに段々とわかってきた。

 

という話をしてくれました。

 

 

 

きっと、演奏する人がその曲をどう解釈するかによって、演奏の仕方も変わってくるし、それを聞いたほうが思い浮かべる情景もまた変わってくるんだと思います。

僕はこのとき、土肥さんという人を通して、その曲のことを少しだけ理解できた気がしました。

 

 

 

また、土肥さんは最後に演奏した、カルザスという人の『鳥の歌』について

 

─僕の母や祖母は音楽家だったんだけど、音楽家は食えないからやめろと言ったんだ。でも高校生のときこのカルザスの

 『鳥の歌』を聞いたときに、やっぱり音楽がしたいって思ってね…。この曲を演奏するといつも泣けてくる…。

 

そういって涙を流していました。

 

 

 

きっと、土肥さんがこうした活動をしようと思ったときに、いろんなことがあったんだと思います。

僕は演奏を聴きながら、カルザスの曲を通して、土肥さん自身の物語を見たような気がしました。

 

 

 

 

人から曲を、曲から人を知る。

 

 

 

 

「この時、この場」に集まった人たちが創りあげた演奏会で、僕はそんな経験をさせてもらったと思います。

 

 

 

 

さて、ここからは宣伝です。

土肥さんは来る9月10日(日)にも、演奏会を開かれるそうです。

詳細は画像に載せているので、興味のある方はぜひ足をお運びください。

きっと今までにない演奏会を体感できると思います。