物語
アウラの森に始めてやってくる子どもたちの多くは、自分自身の人生の物語がもうこれ以上描けなくなっています。自己否定感や他者に対する不安が大きく、なかなか次の一歩を踏み出せなくなっているのです。
人間は物語の中を生きていきます。物語を描きながら生きているのです。
物語には文脈があるので、その文脈を作りながら生きていると言えるかもしれません。
そしてその文脈は、自分自身の思考や感情、他者とのコミュニケーションの中で絶えず修正され、更新されながら作り続けられていくのです。
だから物語を描けなくなっていった子どもたちは、その活動がストップする訳です。
他者との関係を持とうとしなくなり、同じ思考のループに陥り、否定的な感情だけがぐるぐる巡っていく。
多くの不登校の子どもにみられるパターンかも知れません。
私たちの仕事は、彼らが再び自分たちの物語を描き出せるようにサポートすることだと思っています。
それは、まさに彼らが再び自分の人生を生きるということであり、死の状態からの再生の過程と言えるかもしれません。
そこには、感動があります。
人間の持っているそこ知れ得ぬ力を感じる瞬間があります。
そしてその力を、私たちはみんなで共有することで、今度はアウラの森の大きな物語を描いていくのです。