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日誌

人生の物語を描く

私が子どもたちに望むものは、「自分自身の物語を描く」ということかもしれません。
ほとんどの不登校の子どもたちは、傷つき、ボロボロになり、自分の物語なんて全く描けない状態でアウラへとやってきます。
自尊感情なんてほとんどありません。自信をすべて失い、自己否定感に苛まれた状態です。




私たちと彼らとのつながりは、いつもそんなところから始まります。
そしてやがて彼らの中に芽生えてくる小さな自信を大切に育てていきます。
学習活動を通した自信、仲間とのつながりの中で生まれる自信、家族との関係が変容していくことへの自信、そして自分自身の未来が見え始めていくことへの自信・・・。


そんな自信に支えられて彼らは再び自分自身の物語を描き始まるようになっていきます。
そしてここまでが私たちの仕事でもある訳です。


私たちは決して彼らの人生を決定できる立場にはありません。
人生はいつも本人がその責任において選択し判断して歩んでいくものです。
それがたとえ大変厳しい道であっても、その厳しさが自分自身をたくましく育てていることを信じて生きれるようになってほしい。


不登校の子どもたちが、自分の人生の物語を自分自身で描き始めるようになった時、それは私たちと彼らの別れの時、彼らが自分の足で力強く巣立っていく瞬間なのです。
だからそこには、いつも感動があるのです。


夏の終わりにこの春高校へと進学していったS君がお母さんと一緒にやってきました。
学校には1日も休まず、クラブ活動にも参加し、成績もしっかりとっていたS君は、とてもたくましくなっていました。


「アウラに来たことから、あの子の人生が変わりました。そして私の人生も変わりました」
そうおっしゃっていただけることに、嬉しさを覚えました。
S君もお母さんもそれぞれの人生の物語を描き始めるようになってきたことが私には何よりも嬉しいことだったのです。