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日誌

お守りはもういらない

 面談初日から自分のパソコンを持ってきた男の子がいました。

 

「先生これやばいっすよ!」

 彼はそう言いながら、嬉々として自分のパソコンに入っているソフトの説明をしてくれました。

 

 

学びの森に来てからも、来たらすぐにポチポチ…。

休憩時間にポチポチ…。

勉強中に目を盗んでポチポチ…。 

家に帰って夜中にポチポチ…。

 

 

そんなわけで、ここに来た当初の彼の生活は昼夜逆転。

朝起きてここに来るのもしんどい状態でした。

 

 

あまりにパソコンを使う時間が長かったのと、昼夜逆転の生活がひどかったので、私は彼に尋ねました。

 

「なんでそんなパソコン好きなん?」

 

すると、以外な返事が返ってきました。

 

「パソコンないと不安やねん。だからお守りみたいなもんかな。」

 

色々あって学校に行くのが嫌になり、学びの森にたどり着いたけれど、ここでの生活も不安…

彼にとってパソコンはそんな不安から自分を守る”お守り”だったのです。

 

 

そんな彼がここに通うようになってもう半年が過ぎようとしています。

その間、彼はいろんな人と関り、いろんな話をして、自分のしたいこともしたくないことも頑張ってきました。

 

 

そして今日、いつもより身軽な姿でやってきました。

そう、パソコンを持ってこなかったのです。

 

「あれ?パソコン持ってきてないやん!?」

「あぁ、あれ重たいからな。」

 

これには本当に驚きました。

あれほどパソコンを持ってくることにこだわっていた彼が、あっさりパソコンを手放したのですから。

 

 

彼の表情やその言い方から、私はもう”お守り”はいらないんだなと思いました。

そのたくましさにも似たものを彼は手に入れたんだと思います。

 

 

学びの森に来る子どもたちの中には、新しい環境になかなか適応できず、不安でいっぱいな子もいます。

でも、ここの環境や人間関係、経験の積み重ねによって、その不安は少しずつ小さくなっていくと思います。

 

 

そんなことをA君の変容が物語っている気がしました。