物語は変わる
こんにちは、学びの森のキノシタです。
今日は<語り場>があったので、その様子をお伝えしたいと思います。
今回話をしてくれたのは、高校3年生のAくん。<語り場>で話すのは2度目です。
前回は確か2年前ぐらいだったと思います。その時話した内容を思い出しながら、僕はAくんの話を聞きました。
楽しかった保育園・小学校時代から一変。
中学校では人間関係、勉強、部活、親からのプレッシャーに悩まされたそうです。
それらが少しずつ積み重なっていき、今までがんばって登校していたAくんも、ついに「仮病」をつかうことに。
聞いていた生徒たちは
「私も仮病つかったことある。」
「僕は熱があるって言うために、体温計あたためた。」
「お腹痛いってしんどそうな声で言ったら休める。」
「仮病をつかってると、だんだんホンマにしんどくなってくる。」
と、『あるある』で盛り上がっていました。
本当に身体症状として表れることもあれば、まったくのウソというときもあるようです。
みんなの話を聞いていて、学校やその外にある色んなしんどさから、なんとか身を守ろうとしてきたことが伝わりました。
Aくんはそのあと、自分でも不思議だなという表情で
「僕、学校を休む前と後で自分が ”変わった” んすよね~…。」
と言いました。
詳しく聞いてみると
・もともと忘れ物をしなかったのに、何かと忘れっぽくなった
・話し言葉の音量が調節できなくなった(自分では普通に話しているのに、相手に聞こえない)
・人と話すのが怖くなった
などなど、自分の中で変化があったみたいです。
これに対してAくんは、ずっとなんでだろうと不安に思っていたようですが
あるときの<語り場>で同じような経験をした生徒の話を聞いて、自分だけじゃなかったと安心した、と話しました。
生徒の口から過去の<語り場>の話を聞くことはあまりなかったので、これには驚きました。
単純に「覚えてたんや!」という驚きだけでなく、その話がAくんの物語の中にも「組み込まれてるんや!」という驚きです。
その後もAくんは、
中学校で見失った ”勉強をする目的” を高校生になって取り戻したこと
中3のときの進路選択でどんなことを考えたのか
次の進路に向けて今取り組んでいること
などを話してくれました。
また、他の生徒からの「学校を休む前と後では、性格も変わった?」という質問に対しては
「性格はその時々で変わっているようにも思うけど、全部含めて自分なのかなって思う。」と返していました。
それら一つひとつが僕には印象的で、素直にすごいなと思いました。
Aくんはこの2年間の間に、色んな経験をして、色んなことを考え、自分と向き合い続けてきたんだろうと思います。
だから、前回の<語り場>とは全然違う物語に変わったのかもしれません。
生徒たちの物語はいつも新鮮で、どんな世界を見てきたのかを垣間見せてくれます。
でもその物語は、今もこれからも続きがあって、そのたびに変化していくものなんだと思います。
そのことを忘れずに、今目の前で生徒が話している物語に耳を傾けたいなと思いました。
2度目の<語り場>も、なかなか味わい深くてよかったです。
では、また~