具体的な出来事の背景にあるもの
こんばんは、学びの森のキノシタです。
前回はオンライン教室の「約束事」についてご紹介しました。
今回もそんなオンライン教室つながりの出来事から、考えたことをお伝えしたいと思います。
実は、学びの森がオンライン教室を開講するきっかけになった生徒(Aくん)がいます。
Aくんは、コロナの影響が出始める少し前から、学びの森に通うことがしんどくなっていました。
ここ亀岡周辺は、言わずと知れた観光地です。
保津川下りを体験したり、嵐山までトロッコに乗ったり、都会の喧騒から少し離れて自然を満喫できるいいところ。
なので、冬以外は観光客で電車が満員になることもしばしば。
僕も毎日その電車を利用しているんですが、ハイシーズンは「もうやめて…」と思ってしまうほどです。
普段は電車が大好きなAくんも、これには参ったようです。
話を聞くと、その「人の多さ」にストレスを感じて疲れてしまうんだとか。
それもあって、学びの森に来る足も、だんだんと遠のいていっていました。
そこに新型コロナウィルスが─。
学びの森には行きたいけど、今外に出るのは不安。
そんな葛藤を抱えながら、ずっと家で暮らしていたそうです。
家での生活が長くなると、Aくんの中で学びの森と「つながってる感」も薄れていきました。
今は通うことはできないけど、学びの森にはつながっていたいし、学習もしないといけないと思っている。
少しずつ動き始めたい。
Aくんがその思いを伝えてくれたから、なんとか急いでオンライン教室の準備を進めなければ!となったわけです。
あ、そうそう、「もっとこんな風に消毒や換気、加湿をしてほしい。」と提案してくれたのもAくんでした。
そんなAくんは、オンライン教室が開講してからというもの、いつも終了前の30分に顔を出してくれていました。
今日は数学をやろうかなー。と言ってちょこちょこっと学習をスタートさせます。
質問も特になく、問題なく学習を進められている様子でした。
学習以外でも、今ハマっているゲームの話や、不安に思っていることなどを話すようになっていきました。
声を聞いていても、少しずつ元気を取り戻していっているような感じがしました。
そんなAくんがある日、こんなことを口にしたんです。
「数学はいいんだけど、英語がちょっとわからなくて進められないんだよね~…」
オンライン教室を開講してから、初めての注文です。
Aくんが使用している教材は学びの森にもスペアがあるので、今どこでつまずいているのかを画面で共有し、どんな風に手伝ったらいいか話し合いました。
説明をして、まずは問題を解いてもらう。解けたらカメラで答案を見せてもらう。
間違えたところはヒントを出して、もう一度考えてもらう。
普段学びの森で個別学習をするときと同じように、英語の学習に取り組んでもらいました。
すると
「そうか、過去形にすればいいのか」
「あぁ、そんなんあったなぁ…忘れてた」
「おぉ~!できた~!」
だんだんと「できている」という実感を持って取り組んでいることがわかるような発言が増えてきました。
また、そうやって「できている」ことに対して喜びを感じている様子も画面の向こうから伝わってきました。
それからというもの、Aくんは「今日は延長しちゃおうかな~」なんていいながら学習時間を徐々に伸ばしていっています。
こんな風に、ちょっとした関わりでAくんが(僕自身も)元気になるのって不思議だなと思います。
おそらくそこに特別なことは必要ないんだと思います。
ただ、具体的に起こったことの背景に何があるのかは考えておきたいと思いました。
「英語を一緒に勉強した」という具体的な出来事の背景には、学びの森と「つながれた感」があったのかもしれません。
一緒に画面を見ながら、
これで見える?
カメラで映してー!
ホワイトボード使うのアリやな!
チャット機能でヒント出せるんちゃう?
次テキストのどこ説明しよう?
休憩いらんか?
僕はAくんとそんな試行錯誤のプロセスを共有したことで、「つながれた感」ができたように思います。
Aくんがそんな風に思っているかはわかりませんが、少なくとも今の学習の仕方には「いい感じだ」と言っています。
オンラインであっても、そうでなくても、具体的な出来事の背景にあるものを丁寧に追っていくと、関わり方のヒントが見えてくるような気がします。
他の生徒とのやりとりの中でも、その視点は大事にしていきたいなと思いました。
では、また~