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日誌

表現する道具

こんばんは、学びの森のキノシタです。

 

 

 

今日は新年度最初の「語り場」がありました。

 

 

 

代表によるインタビュー形式で、生徒がこれまでの人生を振り返り、語ってくれる時間です。

 

 

 

オンライン教室の生徒もこの場に居る感じで参加してくれました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回語ってくれたのは、中学2年生のAさん。

 

 

 

Aさんの物語は東京から始まります。

 

 

 

東京の中でも自然に囲まれた幼稚園に通っていたAさんは、サッカーをしたり大人と相撲をとったり活発な子だったそうです。

 

 

 

小学校に入って苦労したのは、宿題…。

 

 

 

「テキトーに」するのが大嫌いで、一字一字めちゃくちゃ丁寧に書いていたら、宿題がいつも終わらなかったんだとか。

 

 

 

人間関係の幅も広がり、自分も含め「変な」子がたくさんいて、何をしていても楽しかった高学年。

 

 

 

集中するとそのこと以外目に入らなかったり、聴覚がものすごく鋭敏だったり、作業をするのがものすごくゆっくりだったり

 

 

 

自分は他の人と違う…なんでなんだろう…?と悩んだ時期もあったけど、自分の特性を知ることで解決したという話もしてくれました。

 

 

 

また、3歳の頃からヴァイオリンを習い始め、今までに色んな先生に師事したことや、国内外の合宿に参加したときのことなんかも語ってくれました。

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなAさんが京都にやってきて感じた、これまでの生活との「ギャップ」。

 

 

 

自分以外の生徒が「テキトーに」授業に臨む姿、山のように出される宿題、自分の話が伝わらない/そもそも合わない・・・

 

 

 

Aさんにとってすごく生きづらい環境に一変してしまいます。

 

 

 

次第にAさんは陰口をたたかれ、言い返したくても言い返せないストレスを抱えるように。

 

 

 

そんな毎日で疲弊したからか、ついにヴァイオリンの音が「死んで」しまったんだそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

学びの森にやってくるまでのAさんの物語は、ざっとこんな感じです。

 

 

 

聞いていた生徒からは、

 

・自分も聴覚が過敏なところがあるから、教室がうるさくて苦労したことは共感できる

 

・自分は宿題を選んでやっていたけど、全部完璧にこなさないとって考えちゃうのはしんどいだろうなと思った

 

・自分も言い返したくても言い返せない経験をしたことがあるから、よくわかる話だった

 

などの感想が出ていました。

 

 

 

話し終わってから、Aさんはヴァイオリンを生演奏してくれました。

 

 

 

曲はバッハのヴァイオリンソナタ。

 

 

 

演奏しているAさんはとてもエネルギッシュで、腕だけでなく身体全体で音を奏でていました。

 

 

 

僕は以前、Aさんと話しているときにヴァイオリンについて教えてもらったことがありました。

 

 

 

ただ腕だけを動かして音を出すんじゃなくて、思考も感情も身体も全部使って表現しなきゃいけない─

 

 

 

Aさんの演奏を間近で見て、この言葉の意味がようやくわかりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴァイオリンやそれを弾く技術は、Aさんの表現したいものを表現する「道具」のひとつにすぎないのかもしれません。

 

 

 

Aさんという一人の人間が、文字通りその「全部」を使って表現している姿に感動しました。

 

 

 

きっとAさんはこれからも、たくさんの人・モノ・コトと出会い、表現したいことがどんどん増えていくんやろなぁ…

 

 

 

そんなときにAさんは、どうやってそれを表現していくんやろう?

 

 

 

もしかしたらヴァイオリンでもなくなってるかもな!

 

 

 

なんてことを考えながら拍手を送りました。

 

 

 

 

 

 

 

 

語り場で語られる生徒たち一人ひとりの「物語」も、その生徒が何かを表現する道具のひとつだと思います。

 

 

 

これからもそんな物語をたくさん聞くことができるように、聞いた物語からその子が表現したものをキャッチできるように

 

 

 

何ができるか考えていきたいと思います。

 

 

 

では、また~