「機会」を「連携」で
先日、ある生徒の在籍校から「技術科」の課題が届けられました。
これまで(これからも)副教科をめぐって、どのような形で在籍校と連携をしていくかは学びの森の課題となっているところです。
主要5教科については、うちで定期テストを受けたり、学校で配布されるプリントや問題集を提出したり、日頃の学習している様子を見に来ていただいたりと、色々な方法で連携が図られてきました。
しかし、副教科は学校に行かないとできないことが多く、どうしたらいいかが難しい…。
例えば体育の「器械体操」。跳び箱や平均台はうちにないので、まずできません。
あるいは技術の「金属加工」。電動のこぎりはないので、これもちょっと厳しい。
学校に行くことができれば別ですが、まだ学校に行くことを嫌がっている生徒に強制はできません。
フリースクールの設備面での限界と、本人の気持ちと、評価の軸と…。
色々なものが複雑に絡まっているから難しいんだと思います。
それでも、生徒には教育を受ける権利があり、それをどうやって確保していくかは考えなければならないと思います。
そんな中、届けられたのは「京みず菜の水耕栽培キット」。
見た瞬間、これ絶対おもろいやん!とテンションが上がる僕。
「めんどくさそう…。」とつぶやく生徒。
「ええからやるで!」と、早速作業スタート!
学校の先生が書き記してくれた作業工程のプリントを見ながら、栽培キットを組み立てます。
まず液肥を作って
(液肥の成分って何なんやろな?こんなんで育つんか?─どうなんやろ)
種をスポンジに入れて
(1か所に3粒埋め込むって書いてるけど、それ以上入れたらあかんのかな?─さぁ、成長できひんくなるんちゃう?)
スポンジに水を含ませれば完成!
(種ひとつだけスポンジの上に乗せてみよう。芽出るか比較実験しよ!─めんどくさいなぁもう)
とまぁこんな風に一緒に組み立てながら、( )のような会話をしました。
それらは僕の純粋な疑問ですが、学校では生徒同士とか先生とこんな会話するんかもなぁと考えると、この会話もある意味教育の「機会」なのかもしれないなと思いました。
実際に身体を動かして普段の学習ではできない体験をすることも、その中で会話することも、その「機会」を学校と連携して確保していくことも、大事なことだと思います。
それと同時に、僕じゃない誰かが関わったら、生徒にとってはまた別の「機会」になるんだろうなと思いました。
みず菜について詳しい人なら、液肥に入っている化学物質に詳しい人なら…。
別にどれが良い/悪いではないんですが、自分の持っている引き出しによって会話が変わるということを自覚するのも必要だなと思ったんです。
色んな引き出しを持っている人がいて、色んな「栽培キット」への思いがあって、それを媒介に教育の「機会」が生まれていくのを想像すると、なんかワクワクしませんか?笑
フリースクールと在籍校の「連携」って、こんなことについて話すこともあっていいのかもしれません。
色んな形の「連携」の仕方を模索していきたいなぁと思いました。