子どもが新しい何かに出会うには?~いろんな人がいるから面白い。
学びの森の1階の吹き抜けの教室には、壁一面の本棚があります。
教材から児童書、文学全集まで。6段×8列の大きな本棚です
ある小学生の女の子は、国語の時間に毎回時間を取り、この本棚の中から好きな本を選んで読書をしています。
その子は普段からよく本を読む子で、ここで本を読む時も、とてつもない集中力を発揮してぐんぐん読み進めていきます。
そんな生徒が、次に何を読もうかとこの本棚の前で迷っていたところに出くわした、北村塾長。
「これがおすすめや!」
と、2冊の本を取り出しました。
灰谷健次郎の、「島物語」シリーズ。
これまでにもこの子の「次何読もう~?」という問いかけに一緒になって本を探してきたタナカ。
私がいつも本を探していたエリアとは違う列の棚におさまっていたため、この本の存在に気づいたことがありませんでした。そして気づいていたとしても私なら選ばなそうなチョイスです。(表紙やイラストの雰囲気で勝手に作品のイメージを判断し読む本を選びがちな人間)
さてこの子はどんな反応を見せる…?と思いきや、
「読む」
と即答。
これまでの本の選び方(←表紙に可愛らしいイラストが入っているものが多かっただけ)
や、
女の子やしこういうテイストの本読まへんのちゃうかなあと勝手に思っていたこと(←私が子どもの頃にこういうのを読まなかったという経験をこの子にも当てはめちゃってただけ)
で、私はこの子にこの本をきっと提案しなかったのですが、塾長はこの本を提案した。
そしてこの2冊を読み終えたこの生徒は、
「おもしろかった。続きも読みたい」
と言ったのです。
いろんな人が関わることの面白さって、こういうとこにあるよなぁ
と改めて思いました。
これまで私ひとりが考えていたこの子にどんな本を薦めようかという問題。
そこにふと入ってきた塾長の提案によって、この子は「おもしろい」と思う本にまた新しく出会った。
つまり、ずっと私と1対1の関係だと、この子はこの本に出会わなかった可能性が高く、この本を読んで感じた「おもしろい」に、出会うこともなかったかもしれない。
これって、ほかのいろんなことにおいても言えると思うのです。
家族同士でも友人同士でも、
1対1の関係では、新しい要素が入ってきにくい。
いろんな人が関わることで、新しい要素に出会い、何かが変わる、始まるきっかけが生まれる可能性は高くなるよなぁ、と。
学びの森では、全スタッフが全生徒の学習時間をまんべんなく受け持っており、ひとりの生徒に対して複数の大人が関わることはある程度保証されています。
もちろん自分の受け持つ時間に責任は持ちながら、その強みを活かして、新しい出会いにつながる要素を生徒たちの学びにもっと放り込めたらなー、と思った出来事でした。
あ。
その後、やってきました。
「島物語」の続きの3冊。
その子は、目下これを読み進めているところです。